子宮腺筋症というのは子宮内膜に類似した組織が様々な原因で子宮筋層内にできて、それが増殖する病気のことです。

同様の病気に、子宮内膜に類似した組織が子宮以外の箇所（卵巣・腹膜等）に発生すると子宮内膜症いうものがあります。
子宮腺筋症の組織は女性ホルモンによる影響で、正常な子宮内膜と同様、子宮筋層内で増殖と剥離の繰り返しにより、症状の悪化とともに子宮筋層が厚くなって子宮が大きくなります。
子宮が大きくなる症状は他に子宮筋腫というものがありますが、子宮腺筋症との区別が困難なケースもあります。

子宮腺筋症は20代以降に見られる病気ですが、特に出産経験のある30代後半以降の方によく見られます。
また、閉経するあたり（女性ホルモン分泌の減少）で症状は軽減します。

子宮腺筋症の症状について

主に生理痛・過多生理になりますが、過多生理により貧血・骨盤痛などを引き起こすこともあります。

生理痛を発症するメカニズム

生理痛はプロスタグランジンという物質が痛みの原因となります。
排卵が起こってから体が受精の態勢を整えると、子宮の内膜からプロスタグランジンが生成されます。
プロスタグランジンは、子宮の内膜が剥がれ落ちる時に増えて、子宮の収縮・血液の押し出しという作用があります。
プロスタグランジンが作られ過ぎると、子宮が収縮が部分的に激しくなるため、生理痛もその分きつくなります。

過多生理発症するメカニズム

子宮腺筋症は生理の時に剥がれ落ちる子宮内膜がいつもより多いです。
また、子宮筋層の中にある病変という組織がありますが、そこから出血があります。出血が繰り返されると、子宮筋層が硬く厚く肥大します。
そうなると子宮全体が十分収縮されなくなってしまいます。

子宮全体での収縮作用は止血効果も含まれます。
子宮腺筋症はその止血効果が不十分なので、生理の量もその分多くなります。

子宮腺筋症の治療方法とは？

生理のたびに生理痛や貧血症状がひどくなっていき、日常生活にも影響が出てくる場合もあります。
医師と相談して早期の適切な治療が必要となります。

子宮腺筋症の治療方法は大まかに言うと、薬物療法と手術療法に分類されます。
治療方法を検討する時に、症状・その進行だけでなく、年齢・妊娠希望かどうかなど総合的に判断して治療方法を考えることになります。

症状が軽ければ鎮痛薬で生理痛を抑えたり、ホルモン療法で過多生理を抑えたりすることができます。過多生理 逆に症状が重ければ、子宮全摘手術などを検討することになります。